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北海道の食および食文化の発展に寄与した
個人または団体を顕彰する事業
「小田豊四郎賞」。

任期1年の選考委員の厳選なる審査によって
候補の中から、小田豊四郎賞が選ばれます。




第14回贈呈式が
平成29年5月21日、帯広にて行われました。





 第14回 小田豊四郎賞受賞 
エグ・ヴィヴ
丹野隆善様

丹野隆善様
    <プロフィール>
北海道大学卒業後、1996年から2年間、札幌のパン屋で修業。1998年から半年間はヨーロッパのパン屋を巡る旅へ。2000年小樽市忍路に「Aigues Vives(エグ・ヴィヴ)」をオープン

エグ・ヴィヴ 
048‐2561 
北海道小樽市忍路1‐195


 

 私たちは、小樽の忍路という、海の前でパン屋を開業し、今年の四月で十七年が過ぎ、十八年目に入っております。忍路での生活は、オープンの一年前から始まり、妻と産まれたばかりの長女と共に古い民家に引っ越しました。移り住んでからは、店の改装や窯のための小屋づくり、レンガの窯作り、その後の試作と、開業準備で、あっという間の一年でした。

 そもそも薪の窯との出会いは二十年前。日本での修業後訪れたヨーロッパやアフリカのモロッコでのことでした。様々な出会いや感動がありましたが、一番の衝撃が薪の火でパンを焼くということでした。南仏サリアンの二〇〇年前の石窯を使って焼いたパン・ド・ボケール。ブルゴーニュ地方のマコンでは、一〇〇年前の下だき式の窯で焼いたビオのパン。いずれも形こそ武骨ですが、一口食べた時の味の濃さ、深い味わいに魅了され、薪の炎と共にパンを焼くという営みに、少なからず本質的なパンの追及につながるのではと思いました。夫々の店も決して派手ではありませんが、その土地、土地で必要とされ、存在し続ける姿に、本来のパン屋のあり方も強く感じました。

 開業してからの十七年間にも、たくさんの出会いもありました。特にここ数年は、フランスのパンの歴史や背景、またその奥深さを教えて下さった仁瓶利夫さん。本当に優しいお人柄がパンにも滲み出る、大好きな明石克彦さんという業界の偉大な先輩との出会いと、たくさんの交流。また、モリエールの中道博さんには、仕事に対するパッションと、頭にあるイメージを再現するパワーと行動力を学びました。そして、その様な方々との出会いの機会を与えて下さったのは、渋谷英樹さんでした。パン職人として今の私があるのは、本当にたくさんの出会いがあるからです。全ての方に心から敬意と感謝の思いで一杯です。

これからも焦らず、驕らずコツコツと、パン焼きの営みを続けて参ります。この度は本当に有難うございました


選考委員 門上武司様
<プロフィール>

日本のフードコラムニスト。料理雑誌「あまから手帖」編集顧問であり、関西のグルメには特に詳しい。また、ANNAの機内誌「翼の王国」にも執筆中。

2004年に門上武司食研究所設立。


 
 今回、小樽のベーカリー「エグ・ヴィヴ」に出逢い、衝撃を受けました。今、VTRをご覧頂きましたように、朝早くから奥様と二人で開店準備をされています。パン作りは、丹野さんがお一人でやっておられますが、薪に火をくべるという事は、熱量と温度を管理するということです。その日その時間によって、窯の中の温度が変わります。その火を扱いながら、クロワッサンのようにサクッとした生地のパンからハード系のきっちりとした非常に食べごたえのあるパンまで、これだけの種類のパンが、あの薪窯一つから生まれて来る姿を見て、それを味わい、本当に感動を覚えました。


 丹野さんの仕事を見て、本当に大変な仕事だと思います。でも、パンを作るという自分の仕事を、あんなに楽しくお話しをされ、熱く語られる方に出逢った事は大きな驚きでした。単にパンを作っているという事だけでなく、パンを作ると言う仕事を含めて、自分の仕事に対する有難みのようなものを感じさせて頂きました。

 丹野さんの店は、海沿いのかなり急な坂道を上って行った所にあります。そこに大勢のお客様が押し寄せて来られる。あの場所でやっておられる事も含めて、これからの北海道のパン作りの、一つの形の在り方を確実に示されているのではないかと思い、この度小田豊四郎賞に推挙させて頂きました。

 ご本人は今、パリのノートルダム大寺院で開かれているパン職人のための祭典に参加されています。誰でも参加出来ない凄い祭典のようで、残念ながら今日はお姿を拝見する事は出来ませんが、気持ちは十分に伝わっていると思います。

 私は食べる物も飲み物も好きですが、パンと言うものをしっかりと考えたいし、小樽のあの場所で丹野さんの仕事を見て、仕事の在り方をもう一度考え直してみたいと思う機会を頂きました。そういう意味で、審査委員という立場ですけれども、反対に教えて頂く事が多く、非常に楽しい思いをさせて頂きました。有難うございました

 

  新聞記事より

(北海道新聞 2017.5.22)








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